俺ん家じゃなかったんだ

地域住民

『すみません親父様…私は家の為に何もできませんでした』
しばらくして

洞穴の入口に近寄った老人がその場で膝をついて頭も地面につけるように下げて目も合わさずに喋ってきた
『お腹の具合はどうですか?』
『外の方々がもう時間だと言われております』
『腹はまだ痛む、吐き気は治まったから今から出ていくと外の連中に伝えてくれ』

男は数日前から嘔吐下痢に苦しみ
この老人もその事を知っており水を与えたりしている。
老人は男に対して慣れないものへの尊敬や畏怖の気持ちで恐る恐る首を縦に振って
その場から離れた。

老人が取っ組み合っても倒せる程に弱った身体から発っした言葉からは凛々しさを感じ
やはり近しい間柄にはなれない。
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