俺ん家じゃなかったんだ

元同僚の田中

陽が昇った頃、男が洞穴から出て来た。

外で待っていた連中に縄で拘束され馬の背の上で落下や逃走を防ぐ為、座ったままさらに縛り付けられた。
男を縛り付けた後
連中の一人から老人の手に一握りの銅銭が渡され老人は家に帰る事が許された。
老人の人生にとってもう一度経験する事はない出来事だった。

馬に縛り付けられて山を降りたところで男は昔の同僚と再会した。
同僚というより二年程前まで男の勤め先がまだ破綻するまでは直属では無いが男の部下だった者だ。
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