キミ色の手紙~繋がる奇跡~
それから仲良くなるのに時間はかからなかった。


春休みが終わって学校が始まると、一緒に学校に行くようになって。


いつの間にか、優菜、海斗って呼び捨てで呼び合うようになって。


優菜の笑顔にいつも助けられてばかりで、優菜は俺にとってとても大切な人になった。


なのに、小学校を卒業したらまた引っ越すことになってしまった。


「やだよ、引越したくないっ!」


無理なのは分かってても、毎日母さんにそう訴えた。


「ごめんね、海斗。

お父さんの仕事で……」


だけどそのうち、母さんに謝らせたくなくて、しょうがないよなって無理やり納得した。


「絶対また会おうね!

手紙いっぱい書くからっ!」


見送りの時のこの言葉と、優菜の涙目の顔がずっと忘れられなかった……。


それから頻繁に手紙をやり取りしてたけど、俺が中学に入学してしばらく経つと、俺は手紙を返さなくなった。


今思えば、あの状況だったからこそ手紙を書けばよかったな、なんて思うけどもう遅いんだよな……。


懐かしい気持ちで、書き終えた手紙を読み返す。


小学生の頃の楽しかった思い出は、思い出すと心が温かくなるんだ。
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