キミ色の手紙~繋がる奇跡~
俺なんか誰からも必要とされてないって思うたびに苦しかった。


生きる意味を見失ってたのかもな。


耐えられなくなった俺は、とうとう屋上へと続く階段を上った。


……どしゃぶりの、それでいて静かな放課後だった。


屋上の扉は、押すと簡単に開いた。


すーっと開くそれは、やけに不気味に感じた。


そのままフェンスに近づいて下を眺めると、吹き抜ける風と容赦なく打ちつける雨に、恐怖という感情が俺を支配した。


一瞬躊躇して1歩後ろに下がった時だった。


「お前、何する気?」


聞こえるはずの無い声が後ろから聞こえた。


振り返ると、無表情な男子生徒が俺を見ていた。


無表情のようで、睨まれているような。


とにかく、自分が見られていることだけははっきりしていた。


驚いて固まっている俺に、そいつは更に言葉を発した。


「命捨てるつもりだったら止めはしないけど。
勇気もないのにそんな馬鹿なことしてんじゃねーよ」


はっきりと言い放ったそいつを、俺はただ見つめ返すしか出来ない。


「話、聞いてやってもいいけど」


続けてそう言うと、こっちを見つめてくる。


もうこの時すでに、俺はそいつの事を信じてたんだろうな。
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