【完】いつも通っている道に恋が生まれる
私の気になる人が通った。
やはり、彼は背が高くてイルカのキーホルダーをつけていた。
私は、彼が道を通っている時は息をしないで、彼の空気を感じていた。
私は真っ直ぐな道を歩いていた足を止めて、彼の後ろ姿を見ていた。
彼が通るのを見て、自分の感情に気づいた。
あ、もう好きになってると。
彼は、右手に鞄を持ち、左手にしている時計をちらりと見て、空を眺めていた。
何分だっただろうか、私は彼を眺めていた。
眺めているだけで、彼を感じることができるとおもったから。
でも、彼を眺めるだけであったが私は何もしない。
彼を見るだけで幸せなのだ。
彼を眺めていたら、歩道に何かが落ちているのに気づいた。
うん?と首を傾げ、地面に座り込むように道に落ちているのを拾うと、免許証だった。
名前は、梅原翔生(うめはらかなる)と書かれていた。
顔をよく見ると、私が気になっている人だった。
まさか、私が気になっている人の名前を知れるとはラッキーな日だ。
ウフフと免許証を見て微笑んでいた。