【完】いつも通っている道に恋が生まれる
犬飼さんは、椅子に座り私に言った。
「さっきは、ありがとうございます。花、妻喜びますよ」
「それは、良かったです」
私はそう言うと犬飼さんは、周りを見渡して珍しそうに店を見ていた。
「この店、珍しいですか?」
私は犬飼さんに聞いた。
「いや、そういうことじゃなくて。お客さん、昼時なのに少ないなと思って」
「この店はあまりお客が来ないんですよ。だから、常連客しか来ないんです」
犬飼さんは、へぇーと納得したようなご様子で頬杖をついていた。
その時、オーナーが水とメニューを運んできた。
「なに食べますか?」
私は、犬飼さんに聞いた。
「それでは、オムライスで」
「じゃあ、私もオムライスで。オーナー、オムライス二つお願いね」
オーナーは、ラジオを聞きながら、返事を返した。
「それで、犬飼さんがお話したいことはなんですか?」
私は水を一口、口に含みながら言った。
「そうです。私が話したいのは、翔生についてです。あいつ花守さんに話してないことあると思うですよ」
「いや梅原さんとは、直接話をしたのは一回しかないんです。後はメールだけでの連絡をしていただけですよ」
犬飼さんは、ため息をついた。
「分かってます。でも、その一回があいつには大事だったんですよ。今日何故私がここに来たかというと、あいつに花守さんが勤めている花屋さんに行って、家族に花買ったらどうだと提案されたんですよ。いつも心配しないんですよ、私の家族のことは。だから何か怪しいなと思って、私は全部事情を聞きました。そしたら、あいつ女性が苦手なんですよ。
事情はよく分かりませんが、その事だけは花守さんには伝えようと思って、今日来ました」