【完】いつも通っている道に恋が生まれる
梅原翔生さんは私と逆方向へ行ったが、梅原翔生さんはまだ私の走れる程度の距離に行った。
私は、免許証を手に取り急いで、梅原翔生のもとへ走った。
私は学生時代は陸上部に所属していた。
友達には、あんた、太田と対決出来るんじゃないと言われたほどの速さだ。
太田(ふとだ)とは、世界で一番速い陸上選手で、オリンピックでは金メダルも取ったこともある凄い人だ。
私は高校の時に憧れていた。太田は、雑誌に掲載されるほど顔もイケメンで何でも出来るので、注目を浴びていた。
私は女性であったが、太田のようになりたいという願望があった。
その当時の私自身よくわかっていなかったが、私と同じくらい早かった男友達と差がなく、いつも争っていた。
だから、走りには自信がある。
私は学生時代のように無我夢中で走り続けた。
通行人が走る私を見て、え?瞬間移動と言っていたが気にしない。
私が気になる人、梅原翔生さんの距離まで間に合うために走り続けた。
すると、梅原翔生さんまであとすこしのところで止まってしまい、声が出なかった。
はあーはあー。
やはり、学生時代に陸上部だとはいえ
年には負ける。
足が止まり息が切れていた。
息が切れるのが止まったら、体全身で深呼吸をして、声を出した。
「あのー!この免許証、梅原翔生さんのですかー!」