【完】いつも通っている道に恋が生まれる
私はマスターに言われる前に梅原さんとテーブルに座った。
この前、犬飼さんと座った所と同じだった。
客がいない喫茶店で暇なマスターを呼び、メニューと水を持ってきてと指示した。
私達は、メニューを見た。
「どうしますか?」
私は梅原さんに話しかける。
梅原さんは、眼鏡をかけているのにメニューと眼鏡を近づけて、真剣に悩んでいる様子でメニューとにらめっこしている。
私はその様子を見て、なんか可愛いと思えて心の中でにやけていた。
「………では、オムライスで」
私は笑ってしまった。
「何笑ってるんですか?」
梅原さんは、私を見て言った。
「だって、犬飼さんと同じメニュー頼むんですもん」
梅原さんは、眼鏡をクイとあげて、私に向けた本当の笑顔ではない笑顔をニコと笑って言った。
私はその時に彼が心底で笑ってないと気づいた。眼鏡をかけていたけど、目は笑ってなかった。
「あー、陽介が……花守さん。陽介からなんか聞きましたか?」
梅原さんは、思い出したかのように聞いてきた。
多分、犬飼さんが来たことについて聞いているのだろう。
「……はい」
「そうですか…その前に花守さん食べたいの選んで下さい」
私は梅原さんの話を聞き入っていて
選んでいなかった。
いつもならすぐ決められるのに……
「えーと私は、スパゲティで」