【完】いつも通っている道に恋が生まれる
「マスター、オムライス一つとスパゲティ一つ下さい」
マスターはめんどくさそうに立ち上がり、はい、はいと作り始めた。
私達しかお客がいない為、やけに静かだった。
私は口に水を含ませた。
緊張していることをバレないように
「…花守さん。多分陽介から聞いてると思いますが…」
私は梅原さんが話をする前に私は言った。
「女性が苦手なんですよね?」
水が入っているコップを両手で持ち、私は言った。
「……はい。本当は、俺が花守さんに直接そのことを話をすべきでした。しかし……」
「しかし?」
梅原さんは、下を向き、私からは見えないが多分ズボンで両手の拳を強く握っていた。
「………俺は、母親から幼い頃暴力を受けられていました」
私は驚いた。
梅原さんは、かっこ良くて、背も高くて私にとって完璧な人に見えていた。
「早くに父親を亡くしてしまって、母親一人で俺と弟を育てていました」
弟、いたんだ
知らなかった