【完】いつも通っている道に恋が生まれる
俺は驚いた。まさか、陽介が…………そんなこと言うなんて思いもしなかった。
陽介は、いつも誰に対しても明るく接している。
陽介の方がイケメンで会社でも女性からも人気が高い。
でも2年前に結婚して家族が出来た。
俺はその時、嬉しいような悲しいような複雑な気持ちだった。
多分、俺は理解者が減るのではないかと恐れていたのだろう。
しかし、陽介曰く、俺の方が羨ましいという。
それが何故だかよくわからない。
俺は自分のことを聞くのが怖くて理由は問い詰めなかった。
「…陽介、それよりお前、花守さんと会ったそうじゃないか?」
「なんだ急に……ああ、翔生が言ってたからな。行って見たんだよ。花守さんの職場」
「確かに俺は言った。だがな、俺は提案しただけで、本当に行くって言ってなかったよな?」
陽介は、とぼけていた。
「とぼけんじゃーねぇよ」
「……さあ?……でもな、本当に花守さんとは翔生とは合うと思うけどな……」
「なんで分かるんだよ!」
「この頃……書類提出する際にいつもミスもなく完璧に提出するのが翔生だったろ?でも、今は毎日ミスばかりじゃないか。花守さんのこと考えていたんじゃないのか?」
俺は何も反発出来なかった。本当に陽介が言った通りだったからだ。
花守さんから、初めて告白をされたあの日以来、仕事はめっちゃくちゃなのだ。
だから、花守さんとメール交換して、花守さんから初めてメールがきた時、正直嬉しかった。
初めて、異性の人から好意を持ってくれた。