【完】いつも通っている道に恋が生まれる
私はその胸の高ぶりを感じつつも、仕事へ行った。
朝にはいつも通る道に梅原さんに会うと思うが、今日はどうだろうか。
私はそんなことを思い、靴を履き家を出た。
まだ、いつも通る道ではないが、私の気持ちはどこかにでも飛んでいきそうな気分だった。
そんなことを考えていたら、いつも通る道を通った。
いつもと変わらない風景に、変わらない人混み。
そんな中、私には輝かしく見える男性がこちらからやってきた。
それは、梅原さんだった。
私達は、すれ違った。
すれ違って、梅原さんは行ってしまったと思って、私はトボトボ歩き始めた。
だが、私の後ろ姿に気配がした。
うしろを振り返ったら、梅原さんがいた。
そして、梅原さんは私に近付き、私の耳元で言った。
「それでは、夜に」
「……あ、はい」
梅原さんの顔が私の顔のすぐ近くにあった。
梅原さんの目が、強い眼差しであったので私は目を逸らした。
梅原さんは私から離れて、ではと言って
行ってしまった。