世界をおしえてくれた、君に。
本のなかに
「海を知らぬ少女の前に麦藁帽のわれは両手をひろげていたり」

森のなかにある、以前私が住んでいたお家で見つけた一冊の本

そのなかに、こんな短歌が書かれていた。

まだ幼かった私には、その短歌の意味とか読み方とか、全然わからなかったけど
お母さんが

「茉梨は将来この短歌みたいな想いをするでしょうね。新しい世界に、胸をときめかせ、少しの不安を抱きながら。」

そんなことを言ったから
ますますよくわからなかったけど
この短歌は私にとって大切な歌だということがわかった。

表紙は煤けてて少し破れててよれよれだったけど
この本は、あの日から私の宝物だ。
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