ほたるの初恋、消えた記憶
第1章

初めましてですよね?

もう、なんで早く起こしてくれないの。


新学期早々これじゃ遅刻だよ。


髪はボサボサで顔に寝癖がついてるけど、まぁいいかと洗面所の鏡とにらめっこ。


「ほたる、早くしないと遅刻するよ。」


「母さん朝ごはんいらないや。早弁するからお弁当は持ってくね。」


こら、女の子が早弁はやめなさい。


そんな母さんの怒鳴り声を背中で聞いて、家を飛び出した。

玄関前で幼馴染みの美幸が自転車に股がって、後ろに乗れと催促する。


美幸の後ろは最高だ。


でも、見つかったらかなりヤバいけど。


こんな田舎道に車は通らないから大丈夫。


自転車の横を何故かこの辺りでは見かけない、高級車が横切って行く。


「美幸みた。今の何。」


「さぁ、なんだろうね。」


あれがうさわのベンツなのか。


ベンツなんてテレビでしか見たことがない。

ここは人口2万の小さな田舎町。


緑が多くて、山や川もあって、小さな商店街と高校は一つしかない。


でも私はこの町が大好きなんだ。

















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