ほたるの初恋、消えた記憶
オルゴール館まで菊地が一緒に行くと言うから、追いやったけどついて来た。


たくさんのオルゴールに感動してると。



「そんなに慌てなくてもオルゴールは逃げないよ。」


分かってるけど早く見たくて。


一つ買いたいけど、たくさんありすぎて決められない。


店員さんに赤い木の箱のオルゴールを聞くと、今は販売してないと言われた。


赤い木の箱の上にガラスの薔薇が乗っていて、その真ん中にダイヤモンドがついている。


もう一度確認すると、それは特注品になると思うと言われた。


特注品?


かなり高いものなのかな。


祐吾に聞きたいけど。


祐吾は知らん顔でオルゴール見てるし。


「これなんかどうかな。」


かなりキラキラしたものだ。


シンプルな物がいい。


店員さんが一点しかないですと、少し大きめな木の箱のオルゴールを見せてくれた。


箱の中で可愛い木の動物たちが音色に合わせて踊ってる。


可愛いけど、値段を見て引いた。


15000円は高すぎるよ。


ばあちゃんに貰ったお金があるけど使えない。


あれ、オルゴールが消えた。


菊地の手にオルゴールがある。


菊地、返して!


「俺がほたるに買ってやるよ。日頃迷惑かけてるからな。」


いえ、いえ、菊地さん。


そんな高価な物買って貰えないよ。


菊地の手からオルゴールを奪うと、菊地が振り向いて言った。


「ほたると言う妹がいたけど、3年前病気でなくなった。ほたるを見たとき妹が生き返ったと思ったよ。」


ほたるは妹じゃないのに、ほたる見るたびに構いたくなってごめんなと言う。


だから、菊地は私をからかいながら泣きそうな顔をしてたんだね。


じゃ、おにさんに買って貰おうかな。


菊地の言葉に甘えて買って貰う事にした。


祐吾が良かったなと頭をなぜた。


うん。


菊地、ありがとう。









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