ほたるの初恋、消えた記憶

北海道、バイ、バイ

修学旅行最終日はホテルから二台のバスで、旭山動物へ向かう。


可愛いペンギンを見たり、シロクマの迫力に驚かされたり。


ペンギンのぬいぐるみをガン見見してると、健斗が買ってくれた。


健斗、ありがとう。


はたるはいくつになってもガキだな。


ありがとうを返せ。


祐吾がシロクマの親子を見つめている。


「母さんと来たんだ。」


祐吾のお母さんはもういない。


祐吾の背中に手を置いた。


「民宿に毎年来てた親子は祐吾とお母さんだよね。」


祐吾は振り返らずに頷いた。


「ほたると約束したからね。」


祐吾と何を約束してのだろうか。


ごめんね。


思い出せないよ。


祐吾が話してくれた。


いつかは東京へ帰らないといけないけど、夏休みには必ず会いに来ると約束をしたらしい。


5年間毎年来てたんだけど、ほたるは俺が分からなかった。


そのうちに思い出してくれると思ったけど、母さんが病気になって来れなくなったんだ。


ほたるは完全に俺を忘れてしまったけどね。


それでも俺が覚えていればいいと思ったよ。


だから、転校して会った時に意地悪をいってみたけど、ほたるとは仲良くしたかった。


涙が止まらない。


祐吾がほたるを泣かせてばかりでごめんよと謝るけど、忘れてしまった私が悪いんだ。


バカ、バカ、どうして思い出せないの。


もう絶対に忘れないから、祐吾何処にも行かないでね。










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