ほたるの初恋、消えた記憶
買い物を済ませて二人でファミレスに入り、歩き疲れお腹も空いたから、奈々子がハンバーグ私はスパゲッティを頼んだ。


奈々子が食べていたハンバーグを喉につまらせながら、指を指す方向を見ると、祐吾たちも同じファミレスに入って来ようとしている。


別に悪い事をしてる訳でないのに、二人で隠れよと必死になった。


その時、祐吾たちが私たちの横を通る。


奈々子が思わず声を出した。


不味い気づかれたよね。


そっと顔を上げると、祐吾に何してるのと聞かれた。


彼女が私を見て笑ったような気がするけど。


「祐吾、紹介してよ。」


祐吾が気まずそうな顔をして、彼女を見てから私たちを見た。


「彼女は従兄弟のあかり、中学三年生だったかな。」


中三には絶対見えない。


「こんにちは、祐吾の婚約者の中村あかりです。」


祐吾の婚約者。


噂で聞いていたけど、婚約者が中三だなんて。

お金もちの世界は分からない事だらけだ。


奈々子も驚いて何も言えない。


彼女を見ることなく、もくもくと目の前にあるスパゲッティを食べ続けた。


祐吾がごめんなと言うけど、何に対してのごめんなのか分からないよ。


彼女が私を睨んでるのが分かったから、顔を上げる事が出来なかった。


早く違う席に座ってほしい。


奈々子も無言で食べてるし。


同時に二人で大きなため息をついた。


祐吾に何かを期待した訳ではないけど、何でごめんなのか。


かなり腹立たしかった。


















< 130 / 187 >

この作品をシェア

pagetop