ほたるの初恋、消えた記憶
奈々子と二人で無言で食べ続け、逃げるようにしてファミレスを出た。


もう、なんなのよ。


このイライラ感は。


祐吾の婚約者のあかりさんが大きな声で、田舎のファミレスは美味しくないねと言った事にぶちきれた。


なんなのあんたはと言ってしまいそうな気持ちを必死でこらえ、デザートも食べずにファミレスを出る。


奈々子もかなり怒れたらしい。


二人で無言でドスドスと歩いた。


たまったイライラ感を吹き出すようにして、お互いを見て笑う。


「お金もちの世界は本当にわからんわ。」


うん、とうなづいた。


「ほたる、美味しいクレープ屋さん出来たんだよ。行ってみる。」


うん、うん、行こう。


美味しいクレープ食べるぞ。


楽しくなってきた。


クレープ屋さんの前に並んでると、祐吾が汗をかいて走って来るのが見える。


なんなの。


婚約者といなさいよ。


田舎者で悪かったわね。


こっちに来るな。


イライラする。


祐吾が来ても無視してやるんだからね。











< 131 / 187 >

この作品をシェア

pagetop