ほたるの初恋、消えた記憶
祐吾が迎えに来る前に家を出た。


祐吾の顔を見ると決心が緩んでしまいそうだったから。


祐吾はあかりさんと幸せになってほしい。


学園祭の準備頑張ろ。


なるべく祐吾を避け続けた。


放課後、奈々子と家庭科準備室でライブの服を仕上げていると、祐吾がいきなり部屋へ入って来て私の前に立つ。


「どうして、俺を避けるの。あかりが何を言ったか知らないけど、俺を信じてほしい。」


奈々子が部屋を出て行く。


ごめんとしか言えなかった。


「どうしてほたるは俺から逃げようとするの。10年たって又会えたと言うのに。」


「ごめんなさい。」


謝ってほしい訳じゃないと、祐吾がいった。


「祐吾にとってもあかりさんは大切な人でしょ。あかりさんには祐吾が必要なんだよ。」


「だからなに、俺にほたるを諦めろと言うのか。」


諦めるとかの問題でなくお互いが必用な人だから、二人が一緒にいることでみんなも幸せになれる思う。


こんなに怒った祐吾を始めて見た。


「あかりは俺にとって、妹にしか思えない。俺はあの時からずっとほたるが好きだ。」


あの時?


それは10年前ってこと。


ごめんなさい。


10年前にも告白されたのかな。


何も覚えてない私は祐吾の告白に答える事が出来なかった。


いったい、私はどうすればいいの。


祐吾にそんな顔させたくないのに、何もことばが出てこなかった。


ごめんなさい。





























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