ほたるの初恋、消えた記憶
退院の日父さんと母さん二人で迎えに来てくれた。


民宿は大丈夫なのかな。


じいちゃんとばぁちゃんがいれば大丈夫だと言う。


帰りにケーキでも食べて行こうと言われて、両親と外でお茶するなんて始めてかも。


父さんがたまにはいいだろうと言った。


嬉しくて顔が緩む。


ショートケーキを二つペロリと食べると、母さんがほたるは太らなくてうらやましいと言う。


え、もう一つイチゴタルトを食べようとしたのに。


父さんがイチゴタルトを頼んでくれた。


幸せだな。


「祐吾君の事なんだけど。」


急にどうしたの。


母さんも祐吾を知ってるって事。


祐吾はずっと民宿を手伝っていてくれたらしい。


ほたるは何も覚えてないのと聞かれても分からないんだ。


祐吾と一緒に毎日登校していたと言われたけど。


ごめんなさい。


思い出せない。


父さんが無理に思い出さないていいからと言った。


思い出したくても、どうして祐吾の記憶だけがないのだろうか。









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