ほたるの初恋、消えた記憶
10年前もこうして祐吾に会いに行ったのだろうか。


風を切ってぺタルをこぎなから、10年前に戻れたらいいのにな、と思っていた。


お屋敷までこんなに遠かったのかな。


すぐ横をトラックが通ろうとしたから、思いきり避けると、自転車のタイヤが溝にはまりそのまま倒れた。


体も痛いけど、頭が凄く痛い。


誰が助けて!


そのままま意識を失った。


この夢は10年前の祐吾と私なのかな。


小学生の男の子と女の子が高い木の上で何かを話してる。


《ほたるは高い所が好きなんだね。僕は怖いよ。》


《うん、この木の上から私の大好きなこの町が見えるから。》


《ずっと一緒にいようね。》


《約束だよ。》


あなたは誰ですか?


あなたが祐吾なの。


答えてよ。


祐吾を思い出したいのに、どうして思い出せないのかな。


祐吾、祐吾がどんな人だったの。


会って、話したい。


会わなきゃ、何も分からないもの。


だから、早く会いに来てよ!

























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