ほたるの初恋、消えた記憶

記憶の中の誠也さん

祐吾の近くにいつも誠也さんがいた。


幼稚園の頃もそうだったのかな。


祐吾と誠也さんの母親は違う人、誠也さんはどんな思いであのお屋敷にいたのだろうか。


祐吾の父親はどうも好きになれない。


祐吾の父親は私と遊ぶ事を嫌って、多分誠也さんが父親をなだめてくれてたように思う。


優しい素敵なお兄さん。


ずっと使用人扱いされていたのに。


どうしてそんなに優しく出来るのだろうか。


いつも祐吾の為に自分を犠牲にして。


遠い記憶の中で一度だけ誠也さんが、肩を震わせて泣いていた。


あれは絶対誠也さんだったと思う。


父親に叱られたからなのか。


誠也さんの泣いた顔が忘れられないのはどうしてだろう。


遠い記憶の中の誠也さんを思い出そうとすると、胸が苦しくなるのは何故。


分からないままだ。


色々と思い出したはずなのに、どうして気持ちがモヤモヤするのかな。































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