ほたるの初恋、消えた記憶
手紙の話はホテルに戻ってから話すと言った。


祐吾は健斗から私が一人で北海道へ言ったと聞かされたらしい。


祐吾は夏休み前に東京へ帰ってきていたのだ。


「本物の祐吾だよね。」


「本物か触ってみれば。」


鼻先をちょんと触ってみた。


多分本物の祐吾だ。


祐吾がお腹が空いたと言うのでホテルに戻って昼食を食べる事にした。


話したいことが山のようにあるのに、何から話して良いか迷ってしまう。


一つ一つ聞かなきゃ。


「もうアメリカに行かなくていいの。」


「もう行かないよ。あかりも元気に東京の学校へ通っているし、彼氏も出来たみたいだからね。」


え、そうなんだ。


話が見えない。


あかりさんは祐吾の婚約者で、祐吾が好きなはずでしょ。


「あかりは妹みたいなもので、あかりも分かっていたんだけど、病気の事もあって、寂しかったんだよ。」


あかりの父親もうちの父親も、子どもの気持ちを考える一人ではないからね。


会社の利益ばかりを考えてる。


兄さんはいつも父さんの言いなりだから、俺の事はいつも守ってくれたけど、ほたるに危害を加えると言われたから、仕方なく父親が言うことを聞いたんだと思う。


意味が分からない。


祐吾の父親が私に何をしようとしたの。


危害をくわえるってどういう事なのか。


いくら考えても分からない。

























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