ほたるの初恋、消えた記憶
話より先ず食事たと言うけど、話してほしい。


食事が喉を通らないと思ってたのに、美味しくてついつい食べてしまった。


それでなきゃ、ほたるじゃないってどういう意味でしょうか。


「明日は旭川へ行くんだろ。」


そうだけど、どうして知ってるの。


健斗の奴どこまで話してあるんだろ。


「健斗と連絡を取ってるのに、どうして私には連絡くれないの。」


怒ってる顔も可愛いねなんて、そんなことどうでもいい。


ごめん、ごめんと祐吾が謝る。


本当の事を知りたいだけなのに。


頭の中がグチャグチャだよ。


後で誠也さんさんが謝罪に来るらしいけど、今は祐吾の話を聞きたい。


祐吾がアメリカに行ったのは、やはり父親に言われたからだった。


あかりさんの心臓移植も心配で急遽アメリカに行きを決め、ほたるには手紙を書いたと言う。


その手紙も私の元に届かないままだ。


誠也さんが全て持っているのだと言う。


誠也さんは優しい顔をして、ずっと私を騙していたんだね。


酷いよ。


祐吾が突然いなくなって、私がどんな思いをしたか。


誠也さんは側にいて、どう思ってたのかな。


笑っていたの。


悔しくて泣けて来た。










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