ほたるの初恋、消えた記憶
食後の後祐吾と富良野の町を散策することにした。


歩きながらたくさんの話をして、美味しいスイーツも堪能する。


「今度は新婚旅行で来ような。」


新婚旅行?


し、ん、こ、ん、り、ょ、こ、う!


それって、もしかしてプロポーズですか。


嬉しくて顔が緩んだ。


口をパクパクさせて、早く返事をと思ったのに、祐吾にあそこで写真撮ろうと腕を引かれ返事が出来ない。


「祐吾、あのね。」


「ほたるの返事は今でなくてもいいから、でも必ず来ることは限定だからね。」


も、も、もうなんなのよ。


その落ち着いた大人みたいな対応。


「金魚みたいだね。」


口をパクパクさせたままだった。


もう、本当に嫌。


「ほたるは今のままでいいからね。可愛いままでいて。」


「はい。」


それしか言えなかった。


この先も祐吾には絶対勝てそうもない。


健斗とは連絡を取り合っていたわけではなかった。


美幸にせがまれて、誠也さん経由で祐吾に私が一人で北海道へ行き、帰って来ないと言われたらしい。


祐吾は何がなんだか分からないまま、北海道へ来たのだ。


そして私は必ず富良野にいると思ったらしい。


祐吾からの手紙を一通も受け取ってないのに、祐吾は余裕でほたるは必ず自分を待ってると信じていたと言う。


もしかして、心変わりをしてるとか思わなかったのか。


そんな事考えたこと一度もなかったよ。俺はほたる一筋だし、ほたるが他の男を好きになる訳がないから、それにはかなりの自信がある。


さらりといい言いやがった。


祐吾あなたはある意味凄いです。


祐吾は私の気持ちも全てお分かりなんですね。


恥ずかしい。





























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