ほたるの初恋、消えた記憶
朝食を済ませて祐吾と散歩することにした。


手を繋いでこんな風に祐吾といれる事が不思議でならない。


その時祐吾の携帯が鳴り、誠也さんがホテルに着いたことを知らされた。


誠也さんが何を話すのか、祐吾も分からないと言う。


祐吾の手紙と私の手紙をどうしたのか聞きたい。


誠也さんは人前では話せないと言うので、私の部屋に案内した。


いつも明るくて元気な誠也さんとは思えないほど、疲れ切った顔をしている。


部屋に入るなり誠也さんが土下座した。


え、何?


「祐吾にもほたるさんにも本当に申し訳ない事をした。」


今さら謝られても困るよ。


どんな理由があったにしても、手紙を隠すだなんて許せない。


祐吾が誠也さんに立ち上がって椅子に座るように言った。


でも、誠也さんは床に頭をこすりつけたまま、本当にすまないと繰り返す。


「祐吾に宛てた私の手紙はどこにあるのですか。」


誠也さんがスーツのポケットから出した。


祐吾がそれを受けとる。


祐吾から私に宛てた手紙は全て処分したと言うけど、本当なのかな。


「ほたるさんの手紙は捨てられなかった。」


祐吾は誠也さんを責めない。


「兄さんはもしかしてほたるが好きなの。」


祐吾おかしな事を聞くのは止めてほしい。


でも、誠也さんが頷いたのだ。


へ、誠也さんが私を好きって。


何かの間違いでしょ。


間違いであってほしい。


祐吾が兄さんの気持は分かていたよと言う。


理解不能です。


頭が爆発寸前。


私に分かるように話してください。


















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