ほたるの初恋、消えた記憶
お屋敷に遊びに行っていたときから、活発で元気な可愛い女の子だと思っていたと言う。


それが恋だと気づいたのは、私が自転車で祐吾の後を追おうとして、事故にあった時、誠也さんは私が死んでまうのではないかと名前を呼び続けた。


祐吾が東京へ行ってからも、陰ながら私を見守り続けたらしいけど、私の記憶の中に誠也さんは存在しない。


「兄さんの気持ちは何となく分かっていたけど、確認するのが怖かった。」


祐吾がいなかったこの一年間も、誠也さんはずっと私の側にいてくれた。


でもそれは祐吾の兄としてだとずっと思っていたから。


誠也さんに甘えていた私も悪いのだ。


誠也さんにどんなに思われても、私は祐吾が好き。


祐吾以外の人を好きにはなれない。


「この思いは伝えるべきではないとずっと思ってきたが、ほたるさんに伝えてこの思いを終わらせたかった。」


本当にすまないと何度も誠也さんが謝った。


こんな悲しい告白があるのだろうか。


祐吾は何も言わない。


「誠也さん、こんな私を好きになってくれてありがとう。でも、私は祐吾が大好きだからごめんなさい。」


「二人で土下座は止めてよ。」


私も誠也さんと同じ土下座体制だった。


兄さんは常に自分の気持ちを押し殺して生きてきたから、もう父さんの言いなりは止めた方が言いと祐吾が言う。


私もその通りだと思った。


誠也さんは誠也さんの人生を歩んでほしいな。


誠也さんも幸せになってほしい。


















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