ほたるの初恋、消えた記憶
宮東祐吾といると本当に調子が狂う。


昼食が終わると、片付けと夕飯の準備をしなくてはいけない。


「祐吾君と一緒に畑でとうもろこしを取ってきて。」


おじちゃんが作るとうもろこしは甘くて美味しい。


毎年お客様に喜ばれているんだ。


祐吾が畑を眺め懐かしいと言った。


おじちゃんの畑が懐かしいって、宮東祐吾は畑に来た事があるのだろうか。


怖くて聞けない。


私の知らない事を宮東祐吾は知ってるから。


記憶がないと言うのは心が迷子になったままなんだ。


知らない方が幸せなのかもしれないとか、真実をしると誰かが困る事になるんじゃないのとか。


不安でたまらなくなる。


私はずるいから、なるべく真実から目を反らそうとしていた。










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