ほたるの初恋、消えた記憶
校門前に生徒指導の築地がいて、又遅刻スレスレだと文句言われそうだけど、菊地を無視して校門へ滑りこむ。


「おいこら、ほたる又遅刻スレスレだぞ。」


遅刻スレスレでも遅刻ではない。


美幸が菊地を睨む。


「菊地先生はほたるが好きだから、構いたいんですね。」


美幸さん、何を寝ぼけた事を言ってるんですか。


菊地先生が私を好きだなんて、あり得ないです。


菊地は見た目も良いから、女子にモテる。


髪はボサボサで化粧もしてない、こんな田舎娘を好きだなんて、ないわ。


しかも、今日は顔も洗ってないし。


弁当を食べないと、昼休みまで持たない。


3時間目が体育だなんて最悪だ。


勉強も運動も嫌いで、全てががさつで、整理整頓も出来ない。

時間にルーズで、美幸がいないと生きていけない私なんです。

職員室の前を通ると、担任の前田が男子生徒と話してる姿が見えた。


担任の前田に呼ばれ、シブシブ職員室へ行く。

「転校生の宮東祐吾君だ。家も近いしよろしくな。」


「初めてまして、海野ほたるです。よろしくね。」


出した手をはたかれた。


「初めてじゃないだろ。」


へっ。

何処でお会いしましたか。


こんなイケメンテレビでしか見たことないぞ。


宮東祐吾は私を無視して、スタスタと歩きだした。

ちょっとなんなんですか。


イケメンは何をしても許させるなんて思わないでください。

だから、イケメンは嫌いなんです。


そのイケメンがいきなり振り向いた。


「思い出すまで無視だからな。」


無視で結構ですから、一生無視で構いません。

この町にイケメンは必要ありませんからね。

早く教室に行って早弁したかったのに。


あれ、美幸がいない。











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