ほたるの初恋、消えた記憶
私は本当に幸せだと思う。


優しい家族がいて、友達にも恵まれて、民宿最高。


みんなが帰ってお客様は部屋に戻り、一人夜空を眺めていた。


大きな建物も工場もないから、たくさんの星が見える。


小さな時から星を眺めるのが好きだった。


いつも誰かと一緒に眺めた気がするけど、その相手は父さんかな。


母さんかも。


ぼんやりと見えるシルエットは、誰なんだろ。


子供みたいだけど。


子供の頃から夜空を眺めていたのだろうか。


「お疲れ様。」


祐吾が隣にいる事に気がつかなかった。


「きれいだな。」


うん。


祐吾とならんで眺める夜空を懐かしく感じるのは、どうしてなのか。


10年前もこうして並んで夜空を見上げていたのかな。


私の隣にいたのは祐吾なの?




















< 33 / 187 >

この作品をシェア

pagetop