ほたるの初恋、消えた記憶
祐吾の父親に見つからないように、体を丸めて隠れた。


お金持ちは嫌いだ。


青木さんが祐吾の兄なら、何であんなに差別するんだろ。


祐吾は父親の後を継ぐつもりはないみたいだけど、世間は許してくれないのではないのかな。


私の頭じゃ、お金もちの考える事はさっぱり分からない。


民宿の娘で良かったよ。


お金持ちって大変なんだ。


祐吾が可哀想になった。


私は恋をしたことがないから偉そうな事は言えないけど、普通の恋愛をして普通の結婚したいな。


おかしな想像したら笑えて来た。


「何を笑ってるのかな。一週間も学校休んでごめんね。」


車の中に祐吾が突然現れて、驚いた。


「良ければうちでお茶してかないか。七海さんの焼いたケーキもあるし。」


もう祐吾とは関わらないようにしようと思ったのに、大好きなケーキにつられてしまった。


大きなお屋敷の中は広くて、長い廊下を歩いていると、迷子になりそうで、キョロキョロして祐吾に笑われる。


祐吾に聞きたいことはたくさんあるけど、今は聞かないでおこう。


七海さんのケーキは本当に美味しくて、七海さんが若い事にも驚いた。


七海さんと青木さんは姉弟で、祐吾とも姉弟になるけど、その事に触れるのはいけないことだと感じる。


祐吾を困られたくないし、青木さん姉弟にも事情があるのだと思う。


楽しい時間を過ごした後、祐吾が明日から学校へ来ると言った。

祐吾に報告しなきゃ。


「父さん退院したから、まだリハビリとかあるけど、青木さんのお手伝いもいいからね。」


「じゃ、今まで通り、土日は俺がバイトに行くよ。」


お父さんに叱られると言おうとしてら、青木さんに僕も手伝わせて下さいと言われしまう。


青木さんまでそんな事言わないで下さい。


この兄弟はなんなの。


私の為にどうしてそこまでしてくれるのかな。





















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