ほたるの初恋、消えた記憶
体育大会当日、何故か家族全員で応援に来るらしい。


止めてよ。


幼稚園の運動会じゃないんだから。


弟の大地に本当に走るのかと心配されてしまった。


「姉ちゃんの本気を見に行くからさ。母さんが凄い弁当作ってるよ。」


台所に行くと、三段の重箱におかずを詰めていた。


凄い、すごすぎます。


「エビフライ入ってる。」


「今日は特大のエビフライだからね。」


一つの食べようとしたら、その手をはたかれた。


「駄目。数が減るでしょ。」


仕方ない、ポテトで我慢しよう。


ブライドポテトをつまんだ。


「一応リレーに出るけど期待はしないでよ。」


母さんが高く手をあげて、了解のポーズした。


リレーの他に綱引きと借り物競争にも参加。


なんかワクワクして楽しくなって来たぞ。


体育大会大嫌いだったのに、こんな気持ちになったのは何年ぶりだろ。


父さんが松葉杖をついていた。


「父さんも体育大会来るの。」


「もちろん行くよ。ほたるの走る姿が見れるんだぞ。」


もう、10年走ってない。


小学校の運動会も去年の体育大会も休んだ。


父さんも母さんも何も言わない。


父さん、ありがとう。


照れくさいけど今日頑張るよ。


心の中で呟いた。











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