ほたるの初恋、消えた記憶
祐吾が転校してきてから、健人の態度がよそよそしくなった。


美幸から聞いた話だと、健人は東京の大学に行く為かなり勉強してるらしい。


美幸の進路は小学校の教師になる事。


頭の良い美幸にはぴったりの仕事だ。


私は大学へ行かないと決めている。


進路調査の用紙にも家業を継ぐと書いた。

担任は将来のために、大学か専門学校へ行けと言うけど、これ以上勉強はしたくないし、この家を離れたくないのが本音。


じいちゃんとばあちゃんは民宿をやりたいと言うと賛成してくれたが、両親は反対してる。


民宿を継ぐのはもっと先で良いのではないか。


ほたるのやりたい事をやれば良いと言われたけど、やりたい事など思い浮かばない。


民宿の仕事は大変だけどやりがいはある。


夢としては女の子が一人でも泊まれるような、可愛い部屋を作りたいとか、陶芸とかなんか趣味を広げられるような体験をしてもらえるようにしたいとか。


勉強よりも民宿の未来を考える方が楽しい。


いつか好きな人とこの民宿をやっていけたらいいなと思ってる。


うふふ。


自分でも気持ち悪いと思うけど。


私の自慢の両親のように夫婦で仲良く、民宿をやれたらいいのにな。




















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