ほたるの初恋、消えた記憶
夢の中の祐吾は笑っていた。


ほたるは何も心配しなくていいから。


もうすぐ帰るから待っていろと、手を振った。


祐吾!


叫んで飛び起きると、目の前に祐吾がいた。


やだな。


祐吾を思いすぎて幻が見えてしまうだなんて。


きょとんとしてると、祐吾がただいまと言った。


今、ただいまって言ったよね。


え、ぇぇー。


本物の祐吾なの。


嬉しくて泣けて来た。


「本物の祐吾だ。」


幽霊扱いしないでくれると笑われた。


ほたるが熱を出すなんてあり得ないだろ。


もう失礼しちゃうな。


でも、帰ってきてくれたから何も聞かないよ。


祐吾が話してくれるまで、騙されてあげる。

青木さんが祐吾を大切に思ってる気持ちも分かるから、このままでいいや。


祐吾が作ってくれたお粥を食べたら元気が出て来た。


明日は学校へ行こう。


美幸も健人も心配してメールをくれた。


二人のメールはほたるが熱を出すなんて、雪が降るんじゃないか。


夏に雪?


菊地も心配して家まで来たみたいだし、頑明日は張って登校しますか。

















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