ほたるの初恋、消えた記憶
健人が追って来たので必死に逃げた。


誰かにぶつかりそうになり、見上げると祐吾だった。


「泣くなよ。」


だって、だって、私のせいで誰かが死んだなんて。

怖くてたまらない。


「本当の事を教えてほしい。教えてくれないなら、心療内科の先生に聞きに行く。」


祐吾は何も言わない。


「心療内科の先生は本当の事を知らない。」


美幸の声だった。


美幸は知ってて黙っていたの。


酷いよ。


友達だと思っていたのに。


みんなから逃げるように走ったけど、簡単に祐吾に捕まえられた。


「俺は本当に何も知らないんだ。10年前東京へ帰った日にほたるがケガをして、なぜ記憶をなくしたのか。」


祐吾は本当に知らないんだね。


「祐吾はいなかったから、知らないはずだよ。」


「美幸は知ってるの?」


美幸が頷いた。


そして健人もそこにいたと言った。


どうしてもっと早く教えてくれなかったの。


美幸も健人も泣いていた。


二人に辛い思いをさせてるのは私のせいなんだね。















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