ほたるの初恋、消えた記憶
美幸がついて行くと言うのを必死に止め、高校を休んで行く事にした。


健人とは楽しい修学旅行にするために行って来いと、肩を叩く。


健人痛いよ。


ありがとうと言うと、ほたるらしくないから止めろと笑う。


菊地が泣く事はないだろうと思う。


「東京バナナ買って来い。」


泣きながら言わないでほしい。


菊地、ありがとう。


みんなが応援してくれるから、大丈夫だね。


2日分の着替えを鞄に積めていると、祐吾が部屋に入ってくる。


「修学旅行じゃないんだから、荷物おおすぎだろ。」


だって、パジャマでしょ、下着、鞄から出してると。


荷物はいらないと言う。


どうして?


「着替えとか必要な物は向こうで用意したから。」


向こうで、東京でって事。


誰がですか?


「兄さんが先に行って、みんなやってくれてる。」


青木さんがですか。


祐吾は東京の人だし、多分東京にも家があるのだろう。


やっぱお金持ちは違う。


「そんな顔をしないで。」


ごめんなさい。


「俺はこれからの時間をほたるといたいし、ほたると笑って過ごしたいから、俺の我儘でごめんな。」


ううん。


そう言ってもらえるのは凄く嬉しい。


嬉しいけど、本当にいいのかなって思ってしまう。


頭の検査して、今より酷い状態になったら、祐吾と普通に過ごせるのかな。


みんなと修学旅行へ行けるのか。


怖い。


いつか、自分を忘れてしまうかもしないと言う不安。


祐吾が何度も大丈夫だと言う。


私には祐吾も美幸も健人もいるし、家族もいるんだから、しっかりしなきゃだね。


頑張るよ。


頑張って検査をして、元気に帰るから。



















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