ほたるの初恋、消えた記憶
検査結果にドキドキした。


母さんは怖くて聞けないと言って、診察室には入って来ない。


母の代わりに祐吾が一緒に検査結果を聞いてくれるから、少しだけ安心した。


本当はかなり不安だけど。


交通事故による脳の異常は認められないと言われた。


10年前の交通事故前の記憶は戻らない可能性が高い。


10年前の記憶を無理に取り戻そうとするたびに、怖い夢をみたり、眠れなかったりする事が大きなストレスとなって、脳も良い状態ではなくなるそうだ。


そうなると今より酷い記憶障害におちいる可能性もあるから、もっとゆったりとのんびりと過ごす事が大切だと言われた。


「ほたるさんは頑張り屋さんだから、自分を追い込んでしまってるよね。」


辛いとか悲しいとか、表に出さないように必死に頑張ってる。


家族にも友達にも心配をかけたくないと思う。


辛い時は辛いと声に出して良いし、泣きたい時は思いきり泣きなさいと言われた。


もうすでに限界で、涙がぽろぽろ溢れる。


頭の検査をすると決めた時も、本当は怖くてやりたくないと叫びたかったけど、我慢をして検査を受けて良かったと今は思ってる。


祐吾ありがとう。


泣いてばかりでごめんなさい。


祐吾がいなかったら、検査をする覚悟も出来なかった。


祐吾が私に勇気をくれたんだよね。


















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