*武士の花*~花は桜木、人は武士~
~土方歳三~



とんでもない高熱だ


渉を触っただけで、状態の悪さを察した


「克己…」


俺は顔を歪めてしまった

俺を庇った男は、克己と呼ばれていた



渉の旦那が、克己だと

克己の為に、こんなになるまで……



辰「すみません
無理をしていると、わかっているんです
本当は、普通に女として生きたいはずです
渉に頼り過ぎている…俺の責任です」


土「気にするなよ
そんな情けねえ姿、渉に見せんなよ」


俺もだな……


譫言で克己を呼ぶ


渉の額に濡らした手拭いを置く


薬の支度だ 着替えだ と2人が部屋を出る







渉「……ふぅく…るし……」

土「ばかやろう…何でいつも泣いてんだよ
諦められねぇだろうが……」


苦しいと涙を流す

そっと、涙を拭う


山崎に起こされるまで、渉の夢を見ていた

幸せそうに、目いっぱい笑う

渉の姿




現実の渉は、こんなに苦しいと魘されてる





辛いなら、やめろよ

お前は、武士でなければ、男でもない

背を向け逃げたと笑うものもいない



辰己の言うように

普通に暮らしたかったんだろ?

身請けを喜んでいたんだろ?




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