*武士の花*~花は桜木、人は武士~
それから数日後


洗濯中の七重に、弘吉が声を掛けた


トントンと肩を叩き


「なに?」

手を出す


そこに弘吉は、置屋の子らと会おうと書いたらしい


「ごめん… ちょっと無理……」


弘吉がチラリと俺を見て、去って行く


ホンマ…… 元気ないなぁ













洗濯が終わり、とぼとぼと片付け

七重がおらんなった場所を見たまま

ぼんやりしてた



「山崎、そろそろ帰ってやれ」


背中をポンと叩かれた


「いいんでしょうか」

「俺にきくな!
お前だって、そばにいてぇんだろ?」


静かに頷く


俺の背中を押してくれたんは、副長やった



1番の恋敵



俺は、副長の身代わりとして、依存されたくなかった


せやから、少しそばを離れた


目や耳のかわりとしてやなく


1人の男として、見てもらいたかったんや
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