*武士の花*~花は桜木、人は武士~
翌日の夜



任務で外へ


渉未の指示で、順調に事が運ぶ

あと少しで終わる


という時に、新選組が御用改めに来た


渉「こちらの用事は、済んだ
引き上げるぞ」


以前の渉未なら、援護を指示したはず


下の者が屋敷から、出るのを確認すると


渉「辰巳、帰るぞ?」


新選組に見向きもしない


辰「いいのか?」


渉「何が?」


渉未の目は、真っ直ぐ俺を見据え

本気で、何の事?って感じだ

その力強さに怯んだ


渉「帰るぞ!」


幼なじみがいるんだろ?

初恋の土方がいるんだろ?

恋仲になった山崎がいるんだろ?

双子の片割れに似た、沖田がいるんだろ?



自分の命より大事だって、守らせてくれって…

あんなに克己に頼んでたのに




渉未?















翌朝、爺様に呼び出された


「渉未を天子様の側室として、忍ばせる」














克己が言っていた





〝渉に会うまで、心から笑ったことがなかった
何も守る者がない時は、楽しいと思うことすらなかった
いつ命を落としても、いいと思っていた
守る者ができると、人はなぜか弱くなる〟



渉未は、守る者がなくなったんだ……



たぶん……自分すらどうでもいいんだ



だから、あんなに強い目で



当たり前のように、言えたんだ











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