*武士の花*~花は桜木、人は武士~
~渉未~



天子様の警護とはいえ……

側室として、新選組の前に出るのは、ずいぶん心が痛むな……


烝さんは、こんな生き方しかできない俺を
アホやと見切りをつけてしまうな……


あんな別れ方をしたから、もう…嫌われたかな


本当に側室になれと、天子様は仰る

「傷だらけの体、子も産めません」

なんだかんだと理由をつけたのに

クソじじぃの折角だから

という、意味のわからないすすめで

召されることになった






天子様は……


はっきり言って



面倒くさい



なんてゆうか、克己に少し似てる?










それより…… 気づいているのか?

天子様に向けられるこの殺気

新選組が油断している隙に、ひとりの男が

先ほど舞を踊った舞台にあがり、刀を構えた


「お命、頂戴致します!!!」



ダダダダダッと向かってくる


立ち上がり、着物の袖で刀を包み手を捻る

手から落ちた刀を遠ざける為、袖を広げる


男も体術が出来るらしい


動きにくい……


着物の裾をヒラッと開け、勢いよく男を蹴り

腕をクルリと背中に回して

男の顔を床に押しつける


「さっさっ桜様!!!
御足を仕舞われて下さい!!!」


天子様の側近である爺さん…名前なんだっけ?


「そう仰るなら、この人を何とかして下さいませ」


男を抑えているから、動けねぇんだよ!!


「申し訳ありませんでした
捕らえます」


男を引き取りに舞台に上がる、土方さん


「気が緩んでおられるのですか?」


「いえ、決してその様な……
申し訳ありません」



土方さんには、目線をやらず嫌味を言っておいた

実際、気がつかないなんて

土方さんらしくないから


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