*武士の花*~花は桜木、人は武士~
着物を正して


天子様のいる御簾に向かおうと

方向を変えると


目の前には、人前にわざわざ自分から
出てきた天子様


「桜!!!怪我はないか?
おおおおお、身重の体でかような無理を
するではない!!!」


やっぱり……

この人、面倒くさい


まず、身重ってなに?


天子様の警護なんだから、そこそこ強ぇーし、こんなんで怪我するかよ?


冷ややかに天子様を見てしまう





すぐに天子様によって、視界を塞がれる


本物の側室にも、しないようなこと


しないでくれる?


あれ?


気分悪い……






「桜!!!
しっかりしろ!!気を確かに!!
医者を呼べ!!」
















どうやら

倒れたらしく

目が覚めるとニコニコした天子様が

俺を見つめていた

「おお!目覚めたか?
いやぁ~本当に身重だったとはのぉ」

「は?」

天子様とちぎりを交わしたのは、七夕前夜

え?

「医者が言うに、懐妊しておるのだろうとな!!」

嘘だろ……

まてまて

うっ

吐き気に襲われる


「其方は、細身ゆえ、つわりが酷いそうな
大事にせねばのぉ」


背中をさすられ、だんだんと事の大きさに
恐ろしくなる


「ちょっと待て、俺はあんたを守る為に
ここに来た!それは、京の人々を守ることになるからだ!懐妊って… そんな……
うっ うっ」


クソじじぃ……

俺は、嫌だって言ったのに……


「桜、守ると言うならば、こうしてそばにおればよい!気楽にしておれ!
其方の強さも皆が警戒して、安易にこれまいよ」


ほほほほほっと上品に笑いやがる



とにかく、この男……
天子様を守らなければ……




はぁ~





面倒くさい







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