*武士の花*~花は桜木、人は武士~
どうして噂というのは、こうも

当てにならないのか……




桜の懐妊話は、京の町に広まった





その日……

         月のものがきた


ヤブ医者め……天子様に言われるがまま

懐妊だと言った、いや、言わされたらしい



「其方の身を守る為でもある!
懐妊しているとあらば、側室として疑わしいこともなく、そばにいて警護も出来よう?」



この天子様という男は、考えてるのか

思いつきでやらかすのか

ついていけない……


大人しく守られとけよ


なんで、俺を守るとかいう発想がでたの?


巻きこまないでほしい……








夜間、任務の為に他の者と交代し外へ

辰巳と合流してすぐ

「体は大丈夫なのか?」


…………はぁ



「るせぇ」


「渉未は、指示だけでいいからな?」


…………なんか、どうでもいい


「ありがとう」



懐妊していないと、説明するのも面倒くさい



今日は、厄日だ




新選組と鉢合わせになってしまった

「渉未、ついてるな!!
あいつらに動いて貰おうぜ!!」

辰巳、俺は、関わりたくないんだけど



土方さんと辰巳が話し合う



屋根上で星を見上げる

やるしかねぇな……



任務に取り掛かり、長州の浪士と乱闘になる


今日の土方さんもおかしいな


気が緩んでる



敵に斬りかかられる所を割って入り

応戦する


「こら!渉未!!大人しくしてろって!」


辰巳の大声を聞きながら、敵と睨み合う

コイツ、強えな……


土方さんも他の敵とやり合う


チラリとそちらに目をやったところを

ドカッ


思い切り、腹を蹴られ飛ぶ


クルリと立つが、痛ぇ

片膝をつく


コノヤロ……


クナイを取り出し、本気で戦う


敵を倒した後、ぐにゃりと視界が歪む

「渉!!!」

倒れるところを土方さんに抱きとめられた





今日は、厄日だ









本当……ついてない




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