*武士の花*~花は桜木、人は武士~
「はぁ~ うるせぇなぁ」
手拭いを桶に放り投げ、渉未が起き上がる
辰「寝てろ!」
「帰る……アイツ待ってるし……」
辰「アイツとか、言うな!!
天子様には、帰れないと伝言したから」
「それでも、アイツ待ってるよ」
辰「渉未…」
「嫌なんだよ……帰らないと、アイツにグチグチ言われて、いびられるんだ」
土「じゃあ…山崎に送らせる」
「辰巳と帰るから、いい」
フラフラしながら、立つ
手を伸ばすと
「触るな!!」
拒絶される
「ごめん……見たくないから」
弘「わっじゃなくて、渉未!!」
「なに?」
弘「見てくれ!!俺も間者の疑いが、かかるかもだろ?だから…」
「見なくてもいいよ」
ニコリ
久しぶりに笑った渉未を見た
前みたいな、笑顔じゃないけれど
弘吉を想う、渉未の気持ちが伝わる
〝信じてる〟だな
弘「俺……」
渉「あと少しで…アイツ死ぬんだ」
辰巳以外の俺達は、目を見開く
天子様が… 死ぬ?
渉「近藤さんには、伝えている
俺は、助けられないかわりに
アイツを看取ってやりたくて…
まぁ、看病されてるんだけど
なるべく、一緒にいたいんだ…」
哀しみの表情浮かべ
渉「俺は……」
烝「言わんでええ!!」
山崎に抱きしめられ、渉未はその先を口にしなかった…
そっと、山崎を押しのけ
渉「烝さん……あの家でした約束
まだ、有効ですか?」
小首を傾げ、聞く
山崎の前だけは、女らしくいるんだな
烝「有効や」
渉「そっか…」
そう言って、ふわりと笑った
辰巳と2人、夜の闇に紛れ、帰って行った
その2カ月後
天子様… 孝明天皇は、御隠れになった
手拭いを桶に放り投げ、渉未が起き上がる
辰「寝てろ!」
「帰る……アイツ待ってるし……」
辰「アイツとか、言うな!!
天子様には、帰れないと伝言したから」
「それでも、アイツ待ってるよ」
辰「渉未…」
「嫌なんだよ……帰らないと、アイツにグチグチ言われて、いびられるんだ」
土「じゃあ…山崎に送らせる」
「辰巳と帰るから、いい」
フラフラしながら、立つ
手を伸ばすと
「触るな!!」
拒絶される
「ごめん……見たくないから」
弘「わっじゃなくて、渉未!!」
「なに?」
弘「見てくれ!!俺も間者の疑いが、かかるかもだろ?だから…」
「見なくてもいいよ」
ニコリ
久しぶりに笑った渉未を見た
前みたいな、笑顔じゃないけれど
弘吉を想う、渉未の気持ちが伝わる
〝信じてる〟だな
弘「俺……」
渉「あと少しで…アイツ死ぬんだ」
辰巳以外の俺達は、目を見開く
天子様が… 死ぬ?
渉「近藤さんには、伝えている
俺は、助けられないかわりに
アイツを看取ってやりたくて…
まぁ、看病されてるんだけど
なるべく、一緒にいたいんだ…」
哀しみの表情浮かべ
渉「俺は……」
烝「言わんでええ!!」
山崎に抱きしめられ、渉未はその先を口にしなかった…
そっと、山崎を押しのけ
渉「烝さん……あの家でした約束
まだ、有効ですか?」
小首を傾げ、聞く
山崎の前だけは、女らしくいるんだな
烝「有効や」
渉「そっか…」
そう言って、ふわりと笑った
辰巳と2人、夜の闇に紛れ、帰って行った
その2カ月後
天子様… 孝明天皇は、御隠れになった