*武士の花*~花は桜木、人は武士~

つらい



元に戻れば戻るほど、空っぽになる

笑うことさえ辛い



女将「借金あるわけで無し、辞めたら?」



他に居場所のない私は、体を売ってでも

ここに居させてもらいたい



返事を返すことすら辛い



女将「今日は、休み!!
気分転換に外を歩いといで…」





追い出されるように、外に出た


行くとこなんて、ない



フラフラと町を歩く


気分転換になっているのか?と疑問だ


何気なく見上げた屋根上に、辰巳を見つけた


任務中かな


再び、下を向き歩く


グイッと路地に引っ張り込まれる

辰「渉未……お前、体を売ってるのか?」

「そうだけど?何?」

辰「バカ!!何のために破門にしたかわかってないのか?」

「私の為でしょ…?どうもありがとう」

辰「渉未、大丈夫か?
お前、山崎とは?なぁ?山崎は、知ってんのか?」

「振られたの……
今は、七重に戻ったの……
小桜… 私の新しい名前……ふふっ」

辰「渉未…」

「もしかしたら、あの店を張ってるの?
私、探ってあげようか?」

辰「駄目だ!!お前は、抜け身だ!
関わらなくていい!!」

「知らなかった?私…おせっかいなの」

辰巳が止めるのも聞かず、店に入る



どうなるかなんて、わかってるよ




泣くもんか…


ずっと堪えていたけど、流す涙も私にはない

手篭めにされている間は、空っぽ


もう… 迎えもこない

誰も… 助けにこない


店主を眠らせて、着物を整え、部屋から書簡などをとる


外に出て、先ほどの路地へ


「はい…コレ」


辰「渉未… ごめん…」


「使えるものは、何でも使わないとね…
じゃあね…」


大丈夫…   仕事……



行く当てのない私が来るのは、いつも川原


「疲れた……」



川に入り、横になる

冷たい……


気持ち悪い感触も、何もかも流れていけばいい


何も考えたくない……



もう…



終わりにしたい






疲れた…







私は、そのまま目を閉じた
















< 225 / 291 >

この作品をシェア

pagetop