＊武士の花＊～花は桜木、人は武士～

「きゃああぁぁ！！！！」

屯所に悲鳴が響き渡り

幹部たちが集まる



胸元を両手で掴んで、プルプルと震える

渉がひとり


襲われた訳ではなさそうだ……


土「どうした？」

「ひゃあ！！」


声だけで、俺を怖がる

俺は、助けろという目で、山崎を見る


烝「どないしたんや？」

「わわわわわったし…女なんですけど？」



は？



烝「しっとるわ！」

「どうしましょう！！」

烝「何がやねん……」

「あ！！私…七重と申します！
ここは、どちら様のお屋敷でしょうか？」



本気で言ってるらしい



烝「新選組や」

「し……？ごめんなさい、聞いたことないですねぇ？」


烝「何の冗談やねん！！嫌がらせか！！」

「きゃあ！！申し訳ありません！！！」


弘「七重？」

「弘吉さん！！よかったです！！
渉もいるの？慶太郎さんも？」

嬉しいらしく、弘吉のそばに行く

弘「七重、渉と慶太郎はいないよ」

「弘吉さん……私、本当は男なんです！
えーと、なぜか体が女になりまして…
ということは、渉が男の体になってるでしょ？違う違う！私が渉です！
渉は、七重なんです！！
あ！！私…お稽古、どうしましょう！！」


大混乱だな


土「とにかく、落ち着け！！」

「……あの
弘吉さん…この方は怒ってらっしゃる？」

弘「怒ってないよ！普通だ」

「そうですか…」

俺が怖いらしく、弘吉の後ろに隠れる

弘「土方さん……間違いありません
……七重ですね
七重？この人達が、わかる？」


「わかりません」


死んだ本物の渉が、七重の体で甦った？





沖「こんにちは！僕、沖田総司です！」

「こんにちは…七重ですぅ」

沖「僕、渉と友達なんだよ！
渉のぜんざい、美味しいよねぇ」

「沖田さん！！渉のぜんざいは、絶品ですよねぇ！！うふふっ作って貰いましょう！
弘吉さん？渉は、どこにいるの？」


弘「七重、渉と慶太郎は、遠くに行ったんだ」


「いつ、戻ります？」

弘「わからない」

「弘吉さん？どうして、悲しい顔をするの？」



土「七重、しばらくここで働いてくれ！」

「私、体は売りません」

土「バカ！！女中だよ！！」

「私、料理は苦手ですよ？」

土「なら、他の事をやれ！おソノってもうひとりの女中と手分けしろ！！」

「弘吉さん…」


弘吉の袖をツンツンと引っ張る


「ん？」

「この人誰？えらいの？」


沖「あはははははっ　威張ってるだけだよ
気にしないでね！！」

ゴン


「きゃあ！！大丈夫ですか！？
暴力振るうなんて、野蛮です！！」



は？　


双子って、中身はまったく別人だな……