*武士の花*~花は桜木、人は武士~


ドサッ



それは、平助が倒れる音で

平助が倒れた地面には、血の海で


何があったか、瞬時に理解出来なかった







原「平助ーーーー!!!!!」


左之が叫ぶ声と、渉が平助を抱き起こすのが、ほぼ同時で


俺は、まだ状況が理解出来ない


藤「渉?…へへっ……久しぶり
渉……会いたかった……」


平助は、渉の頬をそっと撫でた

渉の頬を愛おしそうに撫でた手は

ダラリと落ちた


それは、平助の最後の言葉で


俺や左之にも伝わる


〝渉が好き〟


平助が渉を想っていたなんて

気づかなかった



想い人に抱かれ、幸せそうな平助を見ると

なぜか、良かったなって呟きそうになる



ダメだ!!生きてこそだ!!

平助の馬鹿野郎!!!




左之に状況を聞くと、御陵衛士にやられそうな平隊士を逃がしている途中


仲間に斬られたのだとか


そして、渉はパクパク

〝藤堂さん、ごめんなさい〟



助けられなかったこと?

恋心に応えられないこと?



俺にもその口の動きがわかった…





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