*武士の花*~花は桜木、人は武士~
しばらく新選組を離れていた斎藤に

渉と七重の中身が、入れ替わったことを話した 


斎「不思議なことですが、そのようなことが起こり得るのですね……」



半信半疑 


皆が、スッキリしない表情だった

山崎に気を使って、今回の七重の事は追求しなかった







その夜







弘「副長、少しいいですか?」


珍しく俺の部屋に来たのは、弘吉


土「かまわねぇ、入れ」




冴えない表情の弘吉を見れば、良くない話だと見当がつく



弘吉が話し始めるまで、ずいぶんと時間を要した


弘「俺のこと…
ちゃんと話してなかったですよね……
俺… 」





話し終えた弘吉は、言った




「藤堂さんを死なせてしまった……」




「おめぇのせいじゃねぇよ
こうなる運命だったんだ
変えることが出来たかもって
希望を持った渉でさえ、変えられなかった
俺達は、無力なもんだよ……
だからこそ、全力で守ろうじゃねぇか
馬鹿双子をよ!」





「……もっと早く、話していたら」



弘吉は、京で谷口医師に拾われた

そして

〝渉をひとりにするな〟

〝渉は、危険だ〟

〝七重が殺される〟


そう言われ、言いつけ通り渉のそばにいた





弘吉も、俺達も

勘違い、思い込み、外見と中身に惑わされ

どっちが渉で、七重かを混合していた




そう、父親ならば見分けがつく

松本医師のように……



渉は、京に来る前に入れ替わったと言った



それは、服だけ




弘吉は、京で知り合った為

外見男、女を渉

外見女、男を七重

そう思い込んだ



だから、渉が本当は女だと告白しても

渉と呼び続けた



しかし…



本来、弘吉が付き添う相手は、本当の渉のはずだった


弘「七重の方は、昔から先が見え、入れ替わりも操れたんじゃないかって……
谷口先生の言ってたことを思い出してたら、このままだと… 
今の七重が、渉を殺そうとするんじゃないかって……
土方さん… 力を貸してください!!!」






何を企んで、今回の平助連れ戻し計画を
邪魔したのかは、わからねぇが


渉が出でくるのを確認したかっただけか



それとも



渉を殺そうと





……あり得るな




〝元通り〟七重が、笑っていた姿が

浮かぶ


させねぇよ



んなこと、させてたまるかよ!!!








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