*武士の花*~花は桜木、人は武士~
近「残りの御陵衛士に気をつけてくれ」


新選組の隊士を気遣った、近藤さんが

撃たれた

俺達の目の前で…



銃声と騒ぎで駆けつけた、巡察中の永倉と原田の組が、残党を追う


?「こちらに連れてこい!!!」


近藤さんを治療してくれる、という深編笠の男についていく


立派な屋敷の1室に通された


?「ここに寝かせてくれ」


それから、バタバタと走ってくる足音

医者か?なんて、廊下に目をやると


土「渉!!!」


俺の声には、反応せず

近藤さんの怪我を治療し始める


俺達を連れてきた男と、手際良く
進めていく


近「ううっ……」


近藤さんが意識を取り戻す


近「はははっ……夢か?」

そう言いながら、渉に触れる

その手を握って、にっこり笑う渉

近「また、助けられたね……」

そう言い、近藤さんも笑う


近「歳、すまんな…… この有様だ」

土「馬鹿野郎、撃たれてんじゃねぇよ」



何とも子供じみた対応だが

俺は、泣きそうなのをこらえ、顔を背けた



?「命に別状は、ない
しばらく安静だが……どうする?
屯所に運ぶか?」



土「お世話になりました
ありがとうございます!!
連れて帰ります!
こちらに、残党がくる恐れもありますし」

?「来たら、渉未が追い払うさ」


渉未…… 忍の名


?「おお……すまん!!笠をつけたままであったな!!」


!!!!!



土「貴方は!!!」


?「小栗忠順と申す」

土「存じております!!」


近藤さんも起き上がろうとする


渉は、小栗様を見て、首を傾げる


小「な?」


渉にどうだ?って感じで、ニヤリと笑う

パクパク

小「黙れ!クソ坊主!!」


小栗様が渉に手を振り上げると

今度は、渉がニヤリと笑う


パクパク


今のは、俺にもわかる


渉は、将軍の側近職である小栗様に


〝ばぁ~か〟


って言ったんだ……

 
ゴンッ


体は、男だから少し強く拳骨をやる


少し顔を顰めて、頭を擦る



近「歳!女の子に手を上げるなんて!!」



ややこしいんだよ!!


小「はははっ 女の子か!!傑作だな!」


……ややこしい




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