*武士の花*~花は桜木、人は武士~
~ 桜太夫 ~


今夜も、助平家元 新木 蒼介さんが客

少し早く揚屋に着くと、新選組がいるとのこと

挨拶くらい、いいよな…



扉の近くに弘吉を見つけた

弘吉も俺に気づいた

目で会話?笑って答えてくれた



近頃、弘吉は、牡丹天神の専属下男になった

どうやら、2人は恋仲らしい



噂だけど…




扉を開ける前に、中から慶太郎の声がした





「殺されて、当然だって」



「そうだな!芹沢さんは、酷かったよ!」








スパーーーーン



許せなかった…



「え?桜太夫!!!」



「殺されて、当然なんてお人は、おらしまへん!!一人もおへん!!
慶太郎はんも、そう思てると信じてたんえ?」

慶「桜、違う!!芹沢さんは、悪いことやり過ぎたんだ!」

「だからといって、死んで当然やなんて
慶太郎はんは、いわんといてよ!!」


こんなに感情的になったのは、いつぶり?

このままここで、感情に任せて言葉を吐けば


泣いてしまう




クルリと歩いてきた、廊下を戻る


胸が苦しくて、目の奥が熱くて

着物を掴んだ手が震えて、ぎゅっと閉じた

唇が痛くて


後を追ってきた慶太郎に、捕まらないように、必死で振り払う



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