*武士の花*~花は桜木、人は武士~
卑怯なことに、2人同時に斬りかかってくる


キィーーーン


刀同士ぶつかり合う音が、響く



上手く、やっつけても、この姿でこんなことしてるのを、誰かに見られるのは
かなり、痛手だな



「大人しく捕まれ!!」


「お店を通さへんお客は、とりまへん!」




卑怯な攻撃が続き、動きにくさも重なって

体力が底をつきかけた




大勢の足音が近づいてくる



新選組だ




よかった……



そう思って、もう一踏ん張りしようと

刀を受ける


もう1人が、刀を振り下ろすのをよけると




ザシュッ




辺りが血に染まる




え……




なんで……





「新選組です!!大人しく捕まって下さいね!」


沖田の声が聞こえた





「桜…どういうことだ」

弘吉が話し掛けてくる声も聞こえた




持っていた刀をゴトリと捨て

辺りを血に染めた人に触れる


「さく……ら……よかった…ぶ…じで」


椿と茂平を逃がした

代償は、蒼介さんだった


「蒼介さん?嫌や!なんで?」


「さくら……」


「そっ……すけ…さん?」


蒼介さんを揺さぶっても、頬に触れても

反応がなくて

それが、死だとわからなくて


「ねぇ?起きて?
意地悪せんといて?起きて?
蒼介さん?ねぇ!!蒼介さん!!」


何度も蒼介さんって、呼んだのに

蒼介さんは、冷たくなっていくばかり

周りにたくさん人が集まっていたけど

引き剥がされるまで、蒼介さんのそばで

大泣きした














桜が咲くまで、もうすぐだよ?












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